経営者倶楽部『つむぎ会』では、毎月第2水曜日の18時〜定例会を開催しています。
2022年9月14日(水)の定例会では、スペシャルゲストとして、ベトナム人経営者で初の日本市場上場を達成された、株式会社ハイブリッドテクノロジーズ(東証グロース4260)のチャン バン ミン社長をお招きして、『グローバル視点から見た、日本経済の展望』というテーマで、ご講演いただきます。

ミン社長は、2016年に株式会社ハイブリッドテクノロジーズを創業され、2021年12月に東証グロースに上場されました。ベトナム人経営者として日本市場で初めてのIPOを実現されたというだけではなく、上場間近の段階で昨今のパンデミックの影響を受け、売上が4割下がってしまうという逆風の中で、V字回復を達成し、見事当初の予定通りに東証グロースに上場を達成されました。

現在は、パンデミックや物価高騰などの影響で、かつてのミン社長のように逆境に立たされながらも「どうにかしなければいけない」と考えている経営者の方は多いと思います。

今回は、当日のスペシャル講演に先立って、一般社団法人企業共創支援機構の安井 麻代(やすい まよ)が、逆境を見事跳ね除けて、上場という大きな目標を達成されたミン社長に『逆風が吹く中で目標達成する3つのポイント』というテーマでインタビューをさせていただきました。

一体、ミン社長は上場直前に売上が下がり赤字経営に転落してしまうという逆境の状態をどのような方法、考え方で打破し、V字回復・上場を達成していかれたのでしょうか。その秘密に迫りました。

チャン バン ミン

株式会社ハイブリッドテクノロジーズ (東証グロース4260) 代表取締役社長

1986年ベトナム生まれ。1994年に初来日し、大学まで日本で過ごされます。ベトナム国家大学ハノイ校卒業。

日系企業現地法人の代表、ベトナム情報通信大手の日本法人代表を経て、2016年に株式会社EVA(現・株式会社ハイブリッドテクノロジーズ)を創業されました。日本とベトナムの豊富な経験を活かしたシームレスなシステム開発手法により、スピーディーかつ高品質な開発の実現により事業を成長させ、2021年にベトナム人経営者として初となる、東京証券取引所上場を果たされました。「New view with you」というビジョンのもと、日本国内のDX化や企業様のグロースに邁進されています。

安井:今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

みなさま、はじめまして。 株式会社ハイブリッドテクノロジーズのチャン バン ミンと申します。

上場間近で売上4割減!逆風の中でV字回復および上場を達成できた3つのポイント!

安井:昨今のパンデミックの影響を受け、売上が大きく下がってしまい赤字経営に転落してしまうという逆境を、見事に跳ね除けて、予定通りに上場を達成されたミン社長ですが、創業から一体どのような経緯で上場を達成されたのか、そのプロセスについて教えていただけますか。

まず、私が今の事業を創業したのが2016年の4月です。

私たちの事業は、簡単に言えば、クライアント様の要望や仕様に柔軟に対応できるエンジニアチームを形成し、安定したエンジニアのリソースをクライアント様に提供するというビジネスモデルです。

創業から1年経ったあたりから「東証に上場をしたい」という想いが芽生えてきて、そこから上場という目標に向かって準備を進めていきました。

創業時から全てが計画通りに進み、エンジニアの数も500人、600人、700人と増えて、事業は順調にグロースしていたのですが、2020年4月に、昨今のパンデミックの影響をもろに受け、クライアント様の多くが旅行系の企業さまという事から、40%ほど売上が下がってしまい、赤字に転落するという事態に陥りました。

上場をするにあたって特に重要視されるのが「予実管理」というものです。「予実管理」というのは、「計画したことと、実際の進捗のつじつまが合うか」という管理のことを言います。また、グロースという市場に上場するにあたり、「成長性」も重要です。

この上場間近のタイミングで、売上が下がってしまい赤字経営に転落するということは、「上場できなくなる可能性が高い」という事を意味します。

実際に、それから赤字経営の状態が大体半年ぐらい続き、

色々なところから「上場は無理だろう」という話が出てくるような状態になっていました。

上場に関しては、かなり厳しい状況だったのですが、逆に僕の中で起業家的精神のスイッチが入ったと言いますか、「逆に今がチャンスなんじゃないのか」「まだまだ、上場するためにできることはあるんじゃないか」という想いが強くなったんです。

色々な所から「とりあえず業績を回復させて、上場はちょっと諦めましょう」という声があがっていたのですが、やはり僕の中では「1度目標を定めたからには、最後までやり遂げたい」という気持ちが強く、そのまま業績の回復と並行して上場準備を続行しました。

上場をする際には、証券会社と東京証券取引所

の審査があるんですが、証券会社の審査のタイミングで、業績のV字回復を達成することができたんです。

本当にギリギリのタイミングだったのですが、業績のV字回復を達成して、東証さんに上場の申請を出して、2021年12月23日、めでたく東証マザーズに上場できました。

これがざっくりとした、創業から上場までの流れです。

赤字転落してからV字回復して上場するまで眠れない日々が続きましたが、実は、上場した後も、実は色々な試練が訪れてしまいて、今もかつて売上が下がった時と同じように眠れない日々が続いています(笑)

安井:赤字転落という逆風の状態から、ミン社長はどのような考え方や方法で、上場を無事に予定通り達成することができたのでしょうか。

逆風の状況で無事に上場を達成できた理由としては、色々あるのですが、ポイントは「経営者としてのマインドセット」「目標設定」「マインドフルネスの実践」という3つにあるのではないかなぁ、と今振り返ってみると感じます。

逆風が吹く中で目標達成できたポイント1:経営者としてのマインドセット

困難な状況下で業績のV字回復と上場を達成できたのは、大前提として、「経営者としてのマインドセット」が強くできていたからだと思います。

ちょっと偉そうに聞こえてしまうかもしれないのですが、経営者って、「順調だ」と思った瞬間から、もう順調じゃなくなると僕は思っているんですね。

「一緒に関わってる人たちと、新しい景色を見続けていきたい」というビジョンを掲げながら、常に成長をし続けていきたいという気持ちで事業を行っているので、「問題がない」「順調にいってる」と経営者が思ってしまった瞬間から、成長が止まってしまうものだと思っていますし、そう思ってしまうことこそが問題だと思っています。
確かに上場間近のタイミングで売上が大きく減って、赤字になってしまって、「上場は無理だろう」と、色々な人に言われたんですが、「問題がない、順調にいっていると思ってしまうこと事態が問題だ」というマインドセットが僕の中に強くあったからこそ、「問題がある、順調にいかないというのは、むしろ、自分たちがさらに成長できるチャンスなんじゃないか」と思えました。

安井:なるほど。常に問題があるというのが大前提であって、「順調だと思ってしまうこと事態が、危ない」というマインドセットがミン社長の中に強くあったから、逆風の中でも諦めずに挑んでいくことができたのですね。

そうですね。「順調だと思った瞬間から、順調ではない」というマインドセットがあったからこそ、「諦めなければ、できるんじゃないか」という確信が持て、V字回復や、上場に向けて諦めずに挑戦していけたのだと思います。

逆風が吹く中で目標達成できたポイント2:目標設定

安井:ミン社長は、創業1年後に上場という目標設定をされたそうですが、なぜ上場を目標にされたのでしょうか。

理由は2つあります。

まず1つ目が、これまでの自分の職歴や経験などを活かした上で、一個人としてできるのが事業であって、事業をやっていく中で、自分が築き上げられる一番でっかい目標という事を考えると、やはり「上場」なのかな、と思ったことです。

2つ目が、自分が築き上げられるような目標の中で、オンリーワンの目標が設定できるかどうかを考えたときに、「日本市場に、誰もベトナム人の経営する企業が上場していない」ということを発見したことです。

僕はベトナム人なんですが、ちょっと日本語を喋ることができるので、「日本語を喋ることができるベトナム人」という意味で、希少性が高いのかなと思いましたし、ベトナム人の経営する会社が日本市場に上場した前例がないというところで、オンリーワンになれる可能性があるなと思いいました。

安井:前例がないことに挑戦するという事に抵抗はなかったですか。

いえ、僕は昔から、誰もやったことない目標を立てることが好きだったので、特に抵抗はありませんでした。

ただ、目標と言っても、僕の場合は、「ナンバーワン」のように維持し続けるのが難しい目標や、「月に行く」「この世から戦争をなくす」のような難題を目標にはせず、自分のこれまでの経験を生かすことができ、かつ自分が実現可能な範囲の中で最大かつ、オンリーワンになれるような、目標を設定していました。

こう言う風に、自分で実現可能な範囲の中で最大、かつオンリーワンという制約の中で目標を「上場」

に設定したので、赤字に転落して上場できるかどうか危うくなってしまった時も、「意外とやれば実現できるんじゃないか」と強く思えたのだと思います。

それに、これは僕の経験則であって、万人受けするものかどうか分かりませんが、「目標が大きい小さいに関わらず、達成する難しさというものは変わらない」という風に思っていたのも大きいと思います。

逆風が吹く中で目標達成できたポイント3:マインドフルネスの実践

安井:経営者としてのマインドセット、目標設定、どちらも本当におっしゃる通りだと思いました。最後、3つ目のポイントについて教えてください。

最後、3つ目はマインドフルネスの実践です。

マインドフルネスと聞くと、宗教のようなイメージをされる方が多いと思いますが、マインドフルネスとは、呼吸の方法論のことです。

実際にGoogleやFacebookなど世界的な企業でも研修として取り入れられているほど、方法論として確立されています。

実際に僕も、数年前から日々の生活の中にマインドフルネスを、取り入れているのですが、自分でも驚くほど、良い影響を受けています。

赤字転落で一番苦しい時にも、呼吸に集中するだけで、一連の流れの中で「自分は今ここにいる」という認識ができて、ポジティブな良いエネルギーが自分の中で生まれてきます。

マインドフルネスの実践によって、売上が下がってしまい上場が危うくなった苦しい状況の中で、ポジティブなエネルギーでいることができたというのも、上場達成ができた大きな要因の1つだと思います。

安井:マインドフルネスは、毎日実践されているんですか?

はい。例えば朝や寝る前とかに、マインドフルネスを実践しています。実践していると言っても、毎回1〜3分程度、目つぶって呼吸をするだけなので簡単です。

安井:ありがとうございます。「経営者としてのマインドセット」「目標設定」「マインドフルネスの実践」という3つのポイントについて説明していただきましたが、どれも本当にその通りだなと思いました。私たちのような中小企業の中には、パンデミックや物価高騰などの影響を受けて逆境に立たされている経営者が数多くいらっしゃいます。そんな状況にこそ、今回語っていただいたような3つのポイントが突破口の1つになるかもしれませんね。

では、最後に、9月の定例会にお越しになる方に最後一言メッセージをお願いいたします。

これまで、僕は人と関わることを、得意としていませんでしたが、起業し、経営者になってからは、人と関わることによって、色々な可能性が開けたり、新しい発見があったりする事の連続です。

本当にこのような講演の機会をいただけて、お声がけをいただけて本当に光栄ですし、当日参加される皆さまにお会いできるのも楽しみにしています。

大した事は言えないかもしれませんが、当日はぜひ、少しでも私の講演を楽しんでいただければ幸いです。

安井:今回事前インタビューにご協力いただきありがとうございました。ぜひ、9月の定例会の講演をお楽しみに。

経営者倶楽部つむぎ会presents
特別講演

2022年9月14日(水)の18:00〜、つむぎ会の定例会にて、ベトナム人初の日本市場上場を達成された株式会社ハイブリッドテクノロジーズのチャン バン ミン社長をお招きして、「グローバル視点からみた、日本経済の展望」というテーマでご講演いただきます。

日本の絶対課題とも言われるIT人材の不足、そして少子化、その2つの課題を今注目のIT企業はどのように捉えて、どのような展望を持たれているのか、をお話いただきますので、お楽しみに。